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川合玉堂・講演会

今日の担当:お父さん

河野元昭(東大名誉教授、秋田県立近代美術館 館長)さんの講演を拝聴した。

演題は、「川合玉堂 伝統と創造」。

河野さんの講演会にお邪魔するのは、2011年10月以来。 (その時のメモ

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河野さんは開口一番、「私が館長をしている秋田県立近代美術館は、略すとAKB。館員が28名いるので、AKB28」。一同大爆笑。何とも見事な、アイスブレーク。

河野さんの見識の広さと深さ、情熱に溢れた語り口は、この日も健在。以下、私的メモ。

  「玉堂は、3人の先生についた。望月玉泉、幸野楳嶺(円山四条派)、橋本雅邦」
  「展覧会で雅邦の《龍虎図屏風》に衝撃を受け、妻子を連れて上京、半ば強引に弟子
   になった」
  「京都で写生を学び、雅邦の元でイメージの力(心持)を学んだ」
  「西洋では自然は人間が征服するもの。東洋では自然は人間と一体化。特に日本で
   は、自然と人間の区別が曖昧。古事記・日本書紀には、おしっこから生まれた神様
   も出てくる」
  「西洋の美意識はヴィーナスのヌード、中国は龍、日本は秋草」
  「玉堂は文学少年だった。能の「鵜飼」が《鵜飼》のイメージの源泉になっていない
   とは言い切れない」
  「《行く春》に描かれた長瀞は、秩父赤壁の別名がある。三国志で有名な赤壁、蘇軾
   の"赤壁賦"、との関連を指摘したい」
  「玉堂の"微光感覚"が素晴らしい。進取の気性もある」
  「北斎は、圭角がある天才。玉堂は、まろやかな天才」
  「私の話を聴くより、見た方がいい。私の話は忘れて、玉堂ワールドに浸るのが一番」


「図録がコンパクトで、作品解説が素晴らしい。一杯飲みながら読むと、至福のひととき(笑)」、とも。勉強になったなぁ、面白かったなぁ。

講演会の後、山種美術館に移動し、「川合玉堂 -日本のふるさと・日本のこころ-」展にお邪魔した。入口に飾られていた《鵜飼》に見入り、《行く春 小下図》に描かれた自転車に微笑み、《爆布》の迫力に驚き、《二日月》の世界にうっとりして、《紅白梅》屏風の輝きにドキドキした。《早乙女》もいいなぁ。

館内で河野さんの姿をお見かけした。熱心に作品を鑑賞されている様子は、講演中、スクリーンに投影した作品をじっと見つめて、「あ~これね、いいですねぇ~」、としみじみ仰っていた姿そのままだった。

河野元昭さん、山崎妙子館長、素晴らしいイベントと企画展、有難うございました。AKBの「館長のつぶやき」、山種美術館のFBとともに、今後もフォローします。

さて、そろそろ締めの一言。 川合玉堂、いいね!  ♡♥  

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genre : 日記

ハーブ&ドロシー談

今日の担当:お父さん

映画 『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』 公開記念トーク・イベントにお邪魔した。

登壇されたのは、監督の佐々木芽生(めぐみ)さんと音楽評論家のピーター・バラカンさん。

本作は、2010年秋に公開されたドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(2008年制作)の続編。バラカンさんは、DVD作品にコメントを寄せられている。

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映画の主人公は、ハーブ&ドロシー・ヴォーゲル夫妻。半世紀に渡り、現代アートを蒐集してきた際のルールは2つ。郵便局員だったハーブさんの給料で買える値段であること、小さなアパートに収まるサイズであること。

ご夫妻は、蒐集した5,000点近くの作品全てを(1点も売ることなく)、アメリカの国立美術館(ナショナル・ギャラリー)に寄贈する。「引越しトラック5台分」の量は、ナショナル・ギャラリーだけでは収蔵しきれず、全米50州の美術館に50作品づつ寄贈されることになる。

佐々木監督曰く、「美術館に寄贈されたのが1992年で、私が彼らにコンタクトしたのは2004年。随分前の話でしたが、回想的なドキュメンタリーにはしたくありませんでした。過去と現在を行き来して、ライブ感を出したかった。大量に見つかったビデオテープの中に、過去の映像があったのはラッキーでした」、「ハーブは口数が少なく、最初困惑しましたが、そのまま描くことにしました」。

ハーブさんは、昨年7月末に逝去された。享年89歳。本作は、その時点で7~8割完成していたが、急遽撮り直しを行い、最終的に映画が完成したのは昨年12月末。佐々木監督は、「どういうエンディングにするか、最後まで迷いました」、とも。

ドロシーさんは、本作のプロモーションの為に来日、この日に帰国された。Facebookでほぼタイムリーに拝見していたが、牛丼を手にした姿が面白かった。佐々木監督曰く、「吉野家とユニクロに行きたいというのが、日本での2大アジェンダ。以前、ニューヨークのTimes Squareに吉野家があり、Shrimp Bowl(エビ丼)が好きだったようです」。来日中、日本の伝統的なアートが観たいと東京国立博物館を訪れたり、大阪でプロモーションを行った際は金閣寺や竜安寺まで足を延ばしたという。その行動力の凄さは、佐々木監督も驚くほど。

本作には、前作以降の二人の姿とヴォーゲル・コレクションのその後が描かれている。11の美術館を巡るロードムービー的な味わいもあるとのこと。

本作の見所について、バラカンさんは、「ご夫婦が面白いです。アートとは何なのか、考えさせられます。どういうものにどんな価値があるのか、その価値は誰が決めるのか。とにかく観て楽しい映画です」。

佐々木監督の言葉も印象に残る。「アートを知らない私が観ても楽しい映画を作りたかった。アートって面白そう、と思ってくれたら嬉しいです。」 「私にとって、第1作とは全く違う映画。シンプルにenjoyして欲しいです。」

今週末、"台風並みの暴風"との予報もあるが、『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』をしっかり観たいと思う。

雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ。 (電車が停まりませんように。)  ♡♥

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genre : 日記

レーピン展 談

今日の担当:お父さん

「レーピン展」関連イベントにお邪魔した。4週間ほど前のことになる。

 青い日記帳×レーピン展『ブロガー・スペシャルナイト』
 レーピンの魅力を語る座談会+貸切鑑賞会+お土産付き!

   会場: 「レーピン展」展示室内
   ナビゲーター: ブログ"青い日記帳"主宰Takこと中村剛士氏
   ゲスト: 山下裕二氏(明治学院大学教授)
        籾山昌夫氏(神奈川県立近代美術館 主任学芸員)

山下先生は、登場するや否や、「ロシア美術は、まるで素人。ここで白隠展を企画中なので、断れなかったんですよね」、と笑顔で始められた。

籾山昌夫さんは、本展の監修をご担当された日本でのレーピン研究の第一人者。卒論も修論もレーピンだったらしい。日本にあるレーピン作品は横浜美術館所蔵の1点のみ、1970年代半ばに月光荘(銀座)が日本橋三越で30点のレーピン作品を展示、90年代に小樽のロシア美術館(98年閉館)と東京都美術館で展示された程度で、レーピン作品の来日は極めて珍しい、日本のロシア絵画の専門家は十指に満たない、とのこと。

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1917年(大正6年)にロシア革命が勃発。レーピンの晩年は今もよく判っていない。大正7年、「レーピンはロシアで餓死した」とのデマが流れ、『荒城の月』の作詞で知られる土井晩翠は追悼の詩を詠む。「それほど、当時の日本でレーピンは有名だった」、と。

山下先生曰く、「レーピンはロシアでは大変有名。日本で言えば横山大観、いや雪舟かな」、「レーピンの生まれは天保15年で、昭和5年没。富岡鉄斎と最も重なる」。和歴に換算するのが、山下先生らしい!

「トルストイ、ドフトエフスキー、ムソルグスキー等、ロシア文学や音楽はよく知られているのに、絵画の認知度が低いのは何故」、という山下先生の問いに、籾山さんは、「絵画は1点もので再生不能。特にレーピンの絵画は上流階級が購入したので、国外に出なかった」、と応じられた。

時は東西冷戦。アメリカの美術評論家グリーンバーグが、レーピンをこき下ろしたとのこと。「20世紀の美術史は、アメリカが捏造してるんだよね」、と山下先生。大いに納得。

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「レーピンは。めちゃめちゃ巧い。努力したのではなく、元から巧い。例えば、鏑木清方、山口晃」、と。 (努力して巧くなった画家の名前も挙げられていた。例えば、藤田嗣治。)

本展のメイン・ビジュアルは、《休息-妻ヴェーラ・レーピナの肖像》。奥さんの年齢は20代前半。X線で調べると、閉じている眼は当初あいていたらしい。顎に右手を置くのは悲しみを表すポーズとのこと。

レーピンが、"市民の街"モスクワにいたのは僅か5年間。大半は、"皇帝の街"サンクト・ペテルブルクで暮らしていたらしい。移動美術館に展示された《イワン雷帝とその息子イワン》は、史上初めて「取り外せ!」との命令が下るが、半年後に撤回。皇帝の寛容さを示す宣伝に使われたという。そんな歴史があったとは。

《作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像》は、ムソルグスキーが亡くなる10日前に陸軍病院で描かれたという。トークイベント中、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」が流れていた。山下先生が何度も言う、「もっとボリュームをあげて!」

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お気に入りの作品を紹介して頂いた。山下先生は、《ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像》、《ワルワーラ・イスクル・フォン・ヒルデンバント男爵夫人の肖像》、《キャベツ》、《自画像》。Takさんは、《思いがけなく》。籾山先生は、《少女アダ》、《農家の中庭》。三者三様が面白い。

最後に、山下先生による告知があった。本年12月、「白隠展」がBunkamuraで開催されるのこと。「白隠の作品には、国宝、重文が1点もありません」、「史上初の本格的な白隠展」、「見れば判る」、「インスタレーション的に展示します」、「目標10万人!」、とも。行かねば。

籾山さんの博識、山下先生の懐の深さと軽妙な話術、Takさんの視点と気配りに、大いに感心した、とても有意義なイベントだった。

貴重な傑作がずらりと並ぶレーピン展の鑑賞記は、明日。  ■

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奈良美智 談

今日の担当:お父さん

横浜美術館へお邪魔した日、奈良美智さんご本人によるイベントがあった。

  アーティスト・トーク
  奈良美智氏が、出品作品の制作過程などを写真とともに振り返ります。
    日時: 9月1日(土)15:00~16:00(開場14:30)
    会場: 横浜美術館レクチャーホール
    定員: 240名
  ※当日10:00から総合案内で整理券を配布します。


8時半に美術館の前に到着すると、既に大行列。しまった、大いなる読み間違い。女性率8割以上、10時時点では700人以上並んでいたのではないだろうか。

10時、列が動き出した。入口近くまで来たところで、係の方の声が聞こえる。「入場整理券の配布は終了しました。」 え~、そんなバナナ...。

気を取り直して入場券を買い、展覧会を拝見した。図録、絵ハガキ等を頂き、15時からのUstream生中継に合わせて、急いで帰宅した。

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司会の方に紹介された奈良さんは、開口一番、「頑張ります、いや頑張りません」。場内爆笑。

まず最初に、アニメーション作品を見せて頂いた。アメリカ人の方が、スマトラ沖地震を扱ったシリアスなドキュメンタリー映像の合間に入れるアニメーションを、奈良さんに依頼したらしい。

前日からこの日の朝まで、杉戸洋さんと三島の温泉宿にいて、11時に桜木町駅に到着したとのこと。(因みに、温泉宿は、ドーミーイン。) すぐに連絡が入り、今すごい人だから美術館に来てはいけないと言われ、喫茶店で時間を潰した、とも。

PCに入っている写真を次々と見せて頂き、「皆さんの知らない奈良美智」を、ご披露頂いた。

例えば、ルーブル美術館向かいの美術学校に招待されて、ゼミを行った時の写真。生徒に与えたテーマは、「どこにでもあるものを使って、どこにもないものを作る」。奈良さんが特に評価された作品は、コーラ、蜂蜜、ケチャップ、チョコレート・スプレッドの器から中身を出して、混ぜて、再び器に戻したもの。真っ黒になった液体が、各々の器に入っていた...。

高校生の文化祭で描いた絵、ドイツ滞在中のアトリエ、LAのギャラリー、信楽での陶芸制作、「メチャ旨い」お手製焼きそば、NYのゴミ箱、NYの子供病院、5月の八甲田山、3.11後の東北地方でのワークショップ、ブロンズ像制作風景、新薬師寺のトイレの看板、5月の八甲田山、お兄さんが作った野菜、実家の窓から見える雪景色とお母さん、実家の隣町の温泉、等など。

「奈良(県)は好きです。全部自分の領地の感じがして」(笑)。猫の写真も沢山あった。石山さんちの猫、福島の猫、沖縄の猫、香港の猫、等など。

予定時間を延長してお話頂いた。「何でこんな写真撮ったんだろう、理由があるんですけどね」、「僕がこんなにベラベラ話するの、知らないよね」、「時間があったら、もっと見せたい」、とも。

奈良さんは、強固な信念と豊かな個性に加え、とても繊細で、素直で優しい方ともお見受けした。僕より年配かつ著名なアーティストの方に、適切な表現かどうかは判らないけれど。

奈良美智さん、いいね! いいなぁ!  ■

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genre : 日記

重力に抗して

今日の担当:お父さん

石井裕さん(MIT マサチューセッツ工科大学 メディアラボ副所長/教授)を知ったのは、2007年2月に放映されたNHK番組「プロフェッショナル仕事の流儀」、だった。

番組のサブタイトルは、「出過ぎた杭(くい)は誰にも打てない」。石井さんが、足早に動き回る姿、手で触ってデジタル情報を操作する映像が、印象に残った。石井さんのTwitterで、講演会があることを知り、喜び勇んで行ってきた。

題して、「Defy Gravity: The Art of Tangible Bits」(重力に抗して)。場所は、早稲田大学・西早稲田キャンパス。

2つの教室を使った会場は、600名の聴講生で超満員。大学生が7~8割、残りが社会人、といったところだろうか。Ustreamによる同時中継もある。

開始10分前に、大きな鞄を抱えた石井さんが登場。MacBookを取り出し、準備を始める。「Twitterやってない人、いないですよね。石井裕を思いっきりフォローして下さい」、「本当に疲れてるんです。栄養ドリンクの差し入れが嬉しい(笑)」、とも。

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石井さんは、冒頭から全力疾走。

スクリーンに英語と日本語の大きな文字、写真等を表示しながら、早いテンポで情熱的にお話し頂いた。ジョークもたっぷり。(Ustreamを見ているかもしれない娘さんに、手を振る場面も。)

ガラス瓶のフタを開けると音楽が流れる Music Bottle、卓球台に球が当たると水の波紋が映し出される Ping Pong Plus、ブラシで触れたものを映像として取り込んでその映像で絵を描く I/O Brush、等、革新的な映像も投影して頂いた。

約1時間半の講演、質疑応答1時間。その後も石井さんは会場に残り、名刺交換、個別の質問等に応じられていた。

以下、16ページになった私的速記メモからの抜粋。

Perspective
 ・現代の大変化を乗り越えるには、自分の視座(perspective)、基軸(criterion)、
  原点(origin)を持つことが大切。
 ・未知の宇宙空間が遠くに広がっている。それを一生懸命人類が探索する。メタファー
  としての宇宙に、exciteする。inspirationをもらう。
MITへ、Tangible Bits
 ・NTT在勤中、「ClearBoard」について講演した後、Alan Kayから声をかけられた。
  「君の美学は我々が求めているもの。MITメディアラボに来るべきだ」
 ・MITメディアラボ所長(当時)のNegroponteから言われた言葉も衝撃的だった。
  「MITでは、全く新しいことを始めなさい。人生は短い。」
 ・MITに赴任した1995年の春、宮沢賢治記念館(花巻市)で、大好きな詩「永訣の朝」
  の肉筆原稿を見た。書いては消し、書いては消した魂の葛藤のプロセス、精神の苦
  悩を感じた。原稿用紙を引っかくペン使いも聞こえてきた。"身体の痕跡"に感動した。
  Tangible Bitsのルーツの一つ。
 ・そろばんは、Tangibleなインターフェースを持つメディア。
Vision
 ・テクノロジーは1年未満、ユーザーニーズ・ドリブンも10年持たない。だからVisionが
  重要。
 ・「The best way to predict the future is to invent it」(Alan Kay)
 ・「完璧」は、有り得ない。客体化して徹底的に批判する、議論する、深く考える。
 ・大切なのは対立概念。対極は何か。
 ・止揚、アウフヘーベン、上昇せよ。
独創力、協創力、競争力
 ・観察可能なあらゆる現象に「Why?」をぶつける。偶然は一切存在しない、全ては理
  由があり、意味がある。それをディコードするために、『隠喩概念空間連続跳躍』を続
  ける。メタファーと独創視点がエンジン。(メタファーは大切。抽象度の高い言語表現
  が人に想像力をもたらす。)
 ・アイディアを高める為に、己のアイデアを撃ち落とすためのミサイルを連射する。
  "Why? So What? Who Care?" 連射攻撃に耐え、迎撃しながら知の高度を上げ
  ていく。どんなミサイルにも撃ち落とされない高度まで。
 ・Destructive Change。自分が仕掛けた時にのみ、Opportunityが生まれる。
出杭力、道程力、造山力
 ・出る杭は打たれる。しかし出過ぎた杭は誰も打てない。「出杭力」(でるくいりょく)
 ・出杭力の燃料は、「飢餓感」。飢餓感は、内面からほとばしるもの。動物的もの。
 ・MITに来る前は、頂きが雲に隠れている未踏の山に登るつもりだった。実際に来てみ
  ると山はない。自分自身で海抜ゼロから山を造らなければならなかった。「造山力」
  MITで生き残る条件は、自ら山を造り、5年以内に登頂すること。
 ・NHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」のスタジオ収録で、100mトラックを人より
  速く走るのは競争ではない、本当の競争とは、原野を一人で切り拓き、一人で全力
  疾走すること、と発言した。高村光太郎の詩「僕の前に道はない 僕の後ろに道はで
  きる」から、「道程力」と名付けた。
屈辱感、飢餓感、孤高感
 ・出杭力の燃料は、(知的)飢餓感。飢餓感は、内面からほとばしるもの、動物的なもの。
 ・屈辱感をエネルギーに反転させる。必要なのは、誇り、情熱、孤高。
arts and science、design and technologies
 ・自分に一つのラベルをつけた時点で、「既に死んでいる」。
 ・各人が、アーティストで、デザイナーで、科学者で、時に営業マン。それぞれの価値観
  にseamlessに置き換える。
情報
 ・情報は流水。循環することを、再編集されることを自ら欲している。
 ・所有から共有へ。Flicker、Google、Evernoteは面白い。お金を払い、有料サービス
  を使い倒すべき。
 ・140文字(Twitterの文字数)にまとめてみる。自分を漢字熟語で表現してみる。
未来へ
 ・何故走るのかとよく訊ねられる。「人生は短か過ぎるから」。砂が指の間からこぼれ落
  ちるように、残り時間が減って行くから。
 ・自分にしかできないことをやりたい。時間はあまり残っていない。だからコラボレーション
  (協創)する。
 ・2200年を生きる未来の人に何を残したいか、何が残せるか。


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刺激的なメッセージのオンパレード。一つ一つの言葉に、力強さ、重み、そして深い味わいがある。

Music Bottle、Ping Pong Plus、I/O Brush等の映像を拝見すると、「各人が、アーティストで、デザイナーで、科学者で、...」、という言葉が、いっそう腑に落ちる。革新的な発想、実現に向けての突破力、そしてartisticな美しさが、高い次元で融合し結実しているから。

飢餓感をバネにした出杭力、造山力、スピード感、そしてメタファーを駆使して人を動かすチカラ。う~ん、深い。

さてと。講演の感想を140字にまとめて、Tweetしなくては。 (無理かも。汗。)  ■

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サンデル特別講義

今日の担当:お父さん

ハーバード大学 マイケル・サンデル教授の講義に参加した。

テーマは、「市場の役割」について。平たく言えば、「それをお金で買いますか」。

  マイケル・サンデル特別講義 ここから、はじまる 民主主義の逆襲
    主催: 早川清文学振興財団、早川書房、東京国際フォーラム
    協力: NHKエンタープライズ
    日時: 2012年5月28日(月)19時~22時
    会場: 東京国際フォーラム ホールA
    募集人数: 5,000人 (応募者多数の場合は抽選)
    参加費: 無料

サンデル教授を生で拝見するのは、今回が初めて。

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主催者の挨拶と紹介に続いて、サンデル教授が登壇。会場からは、割れんばかりの大拍手。

「今日は、market economy、market societyについて、皆さんと議論しましょう。今や、非常に多くのものを、お金で買うことができます。例えばカリフォルニア州では、お金を払えば刑務所の独房のupgradeが受けられます」 え~っ!?

サンデル教授は、身体を動かしながら、明瞭な言葉で、次から次と問題を提起する。例えば、こんな問いかけ。
  「レディー・ガガのコンサートで、ダフ屋がチケットを売るのは、是か非か?」
  「あなたの町が財政難に陥っている。町の命名権を企業に売るのは、是か非か?」


5,000人の参加者は、配布されたプログラムを頭上に掲げ、自分の意見を表明する。サンデル教授は、意見の割れ具合をコメントした上で、会場に発言を促し、さらに質問を追加して、論点をクリアーにしていく。

サンデル教授のプレゼンテーション能力、知性、ユーモアが素晴らしい。聴衆をリードする手腕は、TV番組以上に、実に鮮やかだった。

それにしても、様々なものがお金で売買されているという事実に、あらためて驚いた。日本は欧米ほどではないにせよ、大阪府泉佐野市のネーミングライツ問題、各種の補助金政策などを考えると、他人事とは言い切れない。

因みに、今回の特別講義の模様は、NHKのEテレで、6/16(土)と6/23(土)、14:00から放送されるらしい。録画しなくては。

関係者の皆様、サンデル教授、素晴らしい講義でした。深謝多謝、礼!  ■

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舟を編むトーク

今日の担当:お父さん

三浦しをんさんのトークイベントにお邪魔した。2012年本屋大賞受賞記念イベント。

 三浦しをん『舟を編む』×『新明解国語辞典』 辞書を作るということ
   会場: 東京交通会館3階グリーンルーム
   出演: 三浦しをん(作家)、瀧本多加志(三省堂出版局長) 《敬称略》

冒頭、瀧本さんが「三浦先生」と口火を切ると、「いえいえ、先生じゃなくて」、と笑顔で応じられた。和やかな雰囲気でトークがスタート。

funeoamu1『舟を編む』は、出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書『大渡海』の編纂を巡る物語。瀧本さんは、25年間、辞書編集に携わってこられたという。

しをんさんは、事前に辞書編纂の現場を取材、「辞書を作る方は、四角四面のすごく真面目な人だと思ってましたが、ユーモアがあって開かれた方でした。真面目は真面目ですけど」、と話された。

瀧本さんは、「ユーモアは受け狙いではないんですよね。自然体。社内では、コロボックルと呼んでます。森の奥で美しい森を守っているような人」、と続ける。

しをんさんは、5種類の辞書を使っているという。小説家の方が辞書を愛用するのは理解できるが、それにしても5種類とは!

様々な辞書で「みぎ」という言葉がどう説明されているか、スクリーンに投影して頂いた。「南を向いた時、西にあたる方」、「北へ向かって、東の方」、「左の正反対」、等など。微妙な違いが面白い。

辞書は間違いが許されない。校正作業が大変とのことだった。初校、再校、三校、...校了。校正された原稿には、赤ペンでびっしりと書き込みがされていた。

辞書用の活字体もあるという。小さい字でも読みやすいことがポイント。紙も特殊で、薄くて軽い、裏うつりしない紙を、特別に漉いてもらっているという。知らなかったなぁ。

版による語釈の違いを、三省堂の新明解国語辞典で例示頂いた。「かわいい」は、1972年の初版では《自分より弱い立場にある者に対して保護の手を伸べ、望ましい状態に持って行ってやりたい感じだ》。97年の第5版では、これに加えて、《小さくて頼りない(弱々しい)点に好感を抱き、大切に扱いたくなる感じだ》。 (文末表現が特徴的!)

「初老」は、初版では《50歳前後》だったが、第4版以降は《60歳前後》に変更されている。

「やばい」は、初版では《(悪事を働いた者にとって)警察につかまりそうで危険だ》。第7版に追加されている記述は、《最近の若者の間では「こんなうまいものは初めて食った。やばいね」などと一種の感動詞のように使われる傾向がある》。面白すぎ!

辞書の魅力と奥深さを痛感。とても愉快なトークイベントだった。

『舟を編む』(光文社)を、週末に読了した。辞書編纂を巡る人々の情熱と葛藤、人間模様が、平易な文体で描かれている。校正や紙質についての記述は、イベントでお話されていた通り。終盤のドライブ感溢れるストーリー展開は、さすがだなぁ、と思う。

国語辞典を読みたくなった。新明解国語辞典 第7版が欲しい感じだ。なんちゃって。  ■

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動的平衡2

今日の担当:お父さん

分子生物学者・福岡伸一さんのトークイベントへ。

動的平衡2『動的平衡2』(木楽舎刊)刊行記念 
  生命は自由になれるのか
   出演: 福岡伸一 (敬称略)
   会場: 丸善 丸の内本店 3F

福岡伸一さんは、ドイツ生まれの生化学者・シェーンハイマーが発見した「生命の動的状態(dynamic state)」を再評価し、「動的平衡(dynamic equilibrium)」という概念の生命観を提示されている。

「生命の本質は、絶え間のない流れ、即ち動的平衡にある」、と。

以下、講演内容についての私的メモ。

まず最初に、動的平衡を「おさらい」、頂いた。
  生命とは何かを考えるとき、何を大切なものとして見るか。
  機械論的に生命を見ているから、切り貼りができる。(細胞を取り替える・遺伝子
  を組み替える・臓器を取り替える) これは、本当に正しいのか。
  時間を一時停止すると、生命体はミクロなパーツによる機械仕掛けのように見え
  るが、実は時間の関数で動いている。
  私たちの身体は、絶え間ない流れの中にある。例えば、皮膚の内側の消化管の
  細胞は、2~3日で置き換わり、筋肉も2週間で約半分が入れ替わる。私たちは、
  絶え間なく分解され、更新されている。今の私は昨日の私ではない。1年もする
  と、ある意味で別人。物質レベルでは、すっかり入れ替わっている。


続いて、本題へ。
  ドーキンスは、「利己的な遺伝子」という著書の中で、「遺伝子が指令をしている」、
  「遺伝子が自己を複製するために生物を使っている」、と言った。しかし、全ての
  生命が子孫を残すために汲々としている訳ではない。子孫を残さないからと言っ
  て、遺伝子は罰を与える訳ではない。
  → 遺伝子は言う、「生命よ、自由であれ」、と。
  人とサルは何が違うのか。遺伝子・DNAレベルで見ると、98%は同じ。残り2%
  も、人にユニークなものではない。脳の遺伝子を活性化するタイミングは、多くの
  部分でサルの方が速い。それ故、サルは成熟が早く、一方で人は子供でいられ
  る時間が長い。人は遊びの時間が長く、それが知能の発達に繋がっている。
  → 遺伝子だけを見ていても判らない。


会場からの質問を契機に、「ミミズに心はあるか」、「ダンゴ虫に心はあるか」、というテーマで話された内容も刺激的だった。曰く、「ミミズやダンゴ虫にも、ある種の心、知性がある」、と。

福岡伸一さんの著書を何冊か読み、講演会にも数回足を運んでいるが、「生命よ、自由であれ」という魅惑的なメッセージは、記憶にない。イベント終了後に、福岡ハカセに直接確認した。「講演会に何度かお伺いしましたが、"生命よ、自由であれ"というメッセージは、初めてお聞きしました」。

ハカセはニッコリ笑って、「それがこの本のテーマです」、と応じられた。やっぱりなぁ。

それにしても、『動的平衡2』というタイトルは、何ともストレートで、潔い。

『動的平衡3』にも、期待しよっと。  ■

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日本の大転換

今日の担当:お父さん

宗教人類学者・中沢新一さんのトークイベントへ。「日本の大転換」(集英社新書)の刊行記念。

  集英社 特設サイト: shinsho.shueisha.co.jp/nakazawa/

以下、イベントの案内文から。
3.11以降の世界にどのような思想が生まれなければならないか、世界ではじめて論じた画期的な書『日本の大転換』。
脱原発の意味すること、資本主義以後の経済論など、従来とは全く異なる思想の大転換をうながす。著者は「緑の党のようなもの」を創ると発言して話題を呼んだが、そのマニュフェストとも言える一冊である。 2011年の文芸誌『すばる』6月号~8月号掲載時に売り切れ店が続出し、ツイッター上でも評判になった論考が新書として緊急出版された。本書の刊行を記念して、著者の中沢新一先生、聞き手に編集者の入澤誠さんをお迎えした講演会を開催いたします。


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冒頭、入澤さんは、「薄い本ですけど、先生がお好きな鰻の白焼きのように、とても味わい深いです」、と口火を切られた。中沢さんは、「学生の頃から考えてきた事だから、厚い本ならいくらでも書けます。でも、今必要なのは、パンフレット(短い文章)。時間をかけて書くのではなく、多少は生煮えでも構わないから、即効性のあるものを出す時代じゃないでしょうか」、と応じられた。

入澤さんの問いに答えるスタイルで、中沢さんのお話が続く。誤解を恐れず大雑把に整理すると、重要なメッセージ(又は論点)が、4つあった。以下、私的メモ。

 ①原発とエネルギー問題を考えるにあたり、「エネルゴロジー」(エネルギー存在論)と
   いう言葉・概念を活かしたい。
 ②原子力エネルギーは、生態圏の外部にあるエネルギーであり、生態圏にそのまま
   持ち込むのは非常に危険。エネルゴロジーの視点から見直す必要がある。目指す
   べきは、太陽エネルギーを変換する、"光合成"のようなイノベーション。 
   (現在の太陽光発電や風力発電は、技術的に不十分。)
 ③かつては、人間関係、家族、近隣との関係といった"社会"が、"経済"をコントロール
   していた。資本主義が成長拡大し、その関係が逆転、経済が社会を包み込むように
   なった。第一次産業を土台にして、エネルゴロジーの視点で、資本主義全体を質的
   に変える必要がある。
 ④緑の党みたいなもの、を作る。11月~12月頃。目指すものは2つ。1つは、自然と
   生活の一致。2つめは、様々なことをやっている人を大きなネットワークで繋ぐ。僕
   たちは触媒。ネットワークが出来たら、元の活動に戻る。


原子力発電と一神教を結びつけ、それと対比して仏教の話もされた。宗教を引用した大胆な仮説は、いかにも中沢さんらしい。

「"緑の党みたいなもの"、と言っているのに、マスコミは"緑の党"としか書かないんですよ。いっそのこと、"緑の党"という言葉は使わないで、"みたいなもの"だけにしようかな(笑)」、とも。

とても刺激的で、奥行きの深いトークイベントだった。

イベント終了後、「日本の大転換」にサインをして頂いた。その折、中沢さんから「うどんはお好きですか」、と質問された。咄嗟に出た言葉は、「ハイ。蕎麦も好きですけど」。

もう少し気の利いたことを言いたかったなぁ。とほほ。  ■

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実践知を育む

今日の担当:お父さん

お台場のホテルで開催された、IT関連のシンポジウムへ。ゲスト基調講演をお聴きした。

 「ハーバードが再評価する日本企業の価値観」
   ハーバード大学経営大学院 教授 竹内弘高氏


まず最初に、マイケル・E・ポーターについて。竹内さんは、以前ハーバードで教えていた頃、ポーターの隣の研究室だったという。それ以来、長年の親交があり、「日本の競争戦略」という共著もある。竹内さんは、一橋大学を定年退職した後、ポーターに誘われて、2010年7月にハーバードへ。ハーバードでは、ポーターと分担して競争戦略論を教えているとのこと。

hbs201109ポーターの競争戦略(Microeconomics of Competitiveness)は、業界分析とポジショニングが主体(outside-out)。一方、野中郁次郎さんと竹内さんが、『知識創造企業』(1995年)で論じた競争戦略(Knowledge-Based Strategy)は、企業が持つ信念・想いをベースに戦略を立てる(inside-out)、という違いがある。この2つの競争戦略を、大御所から直接学べる学生たちは、何とも幸せだなぁ、と思う。

これ以降は、Harvard Business Reviewに野中さんと竹内さんが寄稿した論考から。原題は、「The Wise Leader」(2011/5)。日本語訳は、「賢慮のリーダー」(2011/9)。

(昨年10月に、原稿をHBR編集部に送ったところ、GE等、欧米の事例を削除するよう依頼されたとのこと。故に、取り上げられている事例は、トヨタ、三井物産、ユニクロ、ホンダ、等など。エンロンからリーマンショックへと続いた中で、日本企業のethics integrityが見直されているのではないか、日本企業が再評価されているのではないか、と指摘していた。)

以下、The Wise Leader(賢慮のリーダー)に必要な6つの能力についての、私的メモ。

 ①「善」を判断できる
  ・会社と社会にとっての「共通善」を考えて、意思決定する。
  →「三方よし」は、日本では当たり前だが、欧米にはない。
 ②本質を把握できる
  ・状況や問題の本質を素早くつかみ、人、物、出来事を直感的に理解する。
  →本田宗一郎は、オートバイの走行を確認する時、低く屈み、両手を地面につけ
   て振動を身体で感じた。宗一郎が「ダメ」と言うと、99%何らかの問題があった。
 ③場をつくる
  ・相互交流を通じて新たな意味を構築できるよう、フォーマル・インフォーマルな場
   を、絶えず創出する。
 ④本質を伝える
  ・メタファーやストーリーを使って、自らが実際に経験したことの本質を伝え、個人
   やグループにとっての暗黙知に転換する。
  →マーティン・ルーサー・キングJr.は、'63年の「I have a dream」のスピーチ
   の中で、最後の5分間に、"I have a dream"を8回、"let freedom ring"を
   10回繰り返した。スティーブ・ジョブズは、2005年のスタンフォード大学の卒業
   式でのスピーチで、"Stay hungry, Stay foolish"を最後に3回連呼した。
 ⑤政治力を行使する
  ・政治力を行使し、相反する目標を持つ人を束ねて行動をおこす。
  →人間性は矛盾だらけ。善も悪もある。あれかこれか、ではなく、あれもこれも。
 ⑥実践知を育む
  ・徒弟制やメンタリングを通じて、他者(特に現場社員)の実践知の養成を促す。
  →6つの能力の中で、これが最も重要。


common senseを磨き、直観を鍛え、本質の素早い把握に努める。様々な方法でコミニュケーションを試み、比喩を巧みに使って相手に本質を伝える。対立する概念や意見から、更なる高みを目指す。そして、実践の知恵を養い、広げる。 (ふぅ。)

こういった能力、あるいは行動は、企業の競争戦略としてだけでなく、日々の生活においても大いに参考になるのではないだろうか。

難しいけれど。ふぁいとぉ!  ■

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Lafie & Papa

Author:Lafie & Papa
トイプードルのLafieの趣味は、くう・ねる・あそぶ。人間のお父さんの趣味は、ランニング、美術・音楽鑑賞、読書、ワイン・芋焼酎・その他飲食など。まあ、似たようなものです。
訪問頂き、有難うございます。

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