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続・XD展 2011

今日の担当:お父さん

XD展で、トークイベントをお聞きした。

 クワクボリョウタ × 田川欣哉 × 山中俊治
   「ギークでディープなデザイン談義」

クワクボリョウタ(1971年生まれ)さんは、メディアアーティスト。田川欣哉さん(1976年生まれ)は、takram design engineering代表。山中俊治さんが選んだお二人は、とても著名な方らしい。

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山中さんのプレゼンに続き、クワクボさんと田川さんにプレゼン頂いた。

クワクボさんが最初に紹介された作品は、「ニコダマ」。ベンチ、ゴミ箱、ブランコ等に付けてスイッチを入れると、2つの目玉がランダムに瞬きする。その物体が、生きているかのようにも見える。生き物を認識する上での顔の重要性、顔の中での目の重要性を、あらためて感じた。(YouTubeの動画

続いて紹介されたのは、「10番目の感傷」という作品。暗い部屋の中を走る鉄道模型の先頭に、小さな照明が点灯している。その車両が線路の上を走り、周囲に配置されたモノの影を、壁に投影する。小さな人、スプリング、洗濯バサミ、色鉛筆などの陰影の変化が、幻想的かつ独創的で面白い。

田川さんに最初に紹介頂いたのは、iPadアプリ「MUJI NOTEBOOK」。手書き感覚で、滑らかにドローイングできるツール。欲しい!iPad持ってないけど。(YouTubeの動画)

6足走行の車型ロボット「Phasma」は、「骨」展で拝見した。動く姿がまるで昆虫のようにも見える「有機性」を、2年振りに映像で確認した。(YouTubeの動画

両手親指キーボード「tagtype」は、山中俊治さんとの共同作品。製品化はされなかったようだが、ニューヨーク近代美術館(MOMA)のパーマネントコレクションになった、機能的でとても美しいキーボード。

「新しいデバイスは面白いけど、まずは寝かせる。自分に馴染ませてから使う」、「テクノロジーへの懐疑がある。本当はスイスナイフ1本で作りたい」、というクワクボさんの言葉を受けて、田川さんは、「先端のテクノロジーを扱っていると、毎回毎回、画材が違う。前に使っていたものが役に立たなくなる。プロジェクトの初期に画材を身体にしみこませる必要がある。それから初めて設計できる」、と応じられた。

田川さんは、「"今の時代、何を勉強したらいいでしょうか"、とよく聞かれる。テキストはない。発想を変える必要がある」、とも。そう、人生に教科書はない。自ら考え、切り拓かなくては。

前進を続ける3人の方に、とても大きな刺激を受けた。有り難うございました。 ■

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XD展 2011

今日の担当:お父さん

GWの最終日、東京デザインセンター(五反田)へ。

 エクス・デザイン展(XD展) 2011
   会期: 2011年5月7日(土)・8日(日)
   会場: 東京デザインセンター「ガレリアホール」

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の合同発表会。今回が3回目とのことだが、お邪魔するのは昨年に続いて2度目になる。

印象に残る作品が、数多くあった。

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<Spacecraft Design Project>

有人小惑星探査機のイメージモデル。燃料等をカプセルに入れ、そのカプセルを宇宙に飛ばして、宇宙空間でドッキングさせる仕組みらしい。

パンフレットに、こんな言葉が書かれていた。「科学的合理性と、美しく魅力的であることは必ずしも矛盾し、妥協しあうものではなく、互いに響き合い一致する瞬間があります。本プロジェクトは、宇宙開発においてその一致点を見いだし、美と合理性を共に備えた宇宙船のデザインを目指しています。」

付け加える言葉はない。美しいカプセルが大気圏を飛び出し、宇宙空間を漂うのは、そう遠くないかも知れない。

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<Cilium>

文字通り、繊毛のような動きをする作品。細い棒に触れると、全ての棒がその棒の方向へと傾く。

その動きはとても柔らかく、まるで生命体のようにも見える。

すぐに役立つロボットではないが、生命とは何か、生命らしさとは何かを考える上で、深い示唆に富んでいる。

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<義足>

山中さんがデザインされた義足を初めて拝見したのは、2009年の「骨」展だった。「デザインには、未だ踏み込めていない領域がある」と、義足にチャレンジされた経緯もお聞きした。

それから2年。3体目の陸上競技用下腿義足は、初期モデルの1,750gから▲350gの軽量化を実現したという。思わず息を飲むほどの美しさに、変わりはない。

自転車競技用義足は、「骨」展ではモックアップだったが、今回は実物が展示されていた。他には、投擲用義足、女性用太腿義足、高活動型子供用義足も。山中俊治さんの義足が、着実に進化していることを拝見し、とても嬉しかった。

山中俊治さんの作品は、機能的で美しい。デザインとエンジニアリングが、高次元で融合している。言わば、アートと機能の「幸せな結婚」。

或いは、「喧嘩を長く繰り返した後の、仲直りのkiss」。 (経験ないけど。)

Yamanaka Design Laboratoryから、目が離せない。 ■

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紙の原点とは

今日の担当:お父さん

青山ブックセンター本店へ。『proto- 紙のいきづかい』(毎日新聞社)刊行記念イベント。

  「proto- 紙の原点とは」
     出演: 山口信博 緒方慎一郎 山中俊治


昨春、丸ビル(東京丸の内)で、「Takeo Paper Show 2010 / 感じるペーパーショウ proto-」が開催された。紙の儚さを象徴するかのような、4日間限定の 意欲的で刺激に満ちた企画展 だった。その展覧会のディレクションをご担当された3名の方による、トークイベント。

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ペーパーショウ会場の写真を投影頂きながら、展覧会の秘話などについて、お話をお聞きした。

「proto-」 という名称については、かなり議論されたという。(「p」と「o」のロゴが、3原色を少しずらして印刷してあるとは、全く気が付かなかった。) "感じる"ことに重きを置き、会場内の説明書は極力少なくした、とも。(確かに少なかったなぁ。)

洋紙と和紙で作られたトンネル、紙の壁に挟まれた狭い通路、抄紙機のモデル、風にふわふわと舞う和紙、無地の新聞紙、紙の庵、原紙が並ぶ森、巨大なトイレットペーパーの滝、等など、印象的な空間と作品に、スクリーンで再会した。

小さな抄紙機の上をパルプが流れ、水分が落ちて紙に近づいた後、水の中に溶けていく。その様子を会場で見た時、「輪廻転生」を感じたことを思い出した。突如、目の前に現れる大きな滝にも、驚いたなぁ。

「"落とし紙"と"浅草海苔"は、同じ職人が漉いていた」、という話も面白かった。海苔を漉く技術が、ゴワゴワした黒い再生紙に繋がっていたとは。

「情報媒体ではない紙を、展示したかった」、とも。なるほど。

書籍『proto- 紙のいきづかい』の紹介があった。ペーパーショウ会場の写真やインタビュー記事が印刷されているのは、様々な種類の紙。本のオモテ表紙はボール紙(再生紙)、ウラ表紙はパルプシート(紙の原料、即ち紙以前)で作られている。3人のアートディレクターのページは、個性に合わせて選ばれた三者三様の紙。今やとても珍しい活版印刷が使われたページもある。

アート作品のような本の頁を繰り、紙のテクスチャーを指先で直に感じる。自分自身の身体で感じる質感(クオリア)。"身体性"の重要性を、あらためて想う。

トークイベントと書籍による、9ヶ月前に訪れた企画展の追体験。とても印象深い体験だった。

◇◆◇◆◇

話は逸れるが、「ランニングは、"身体性"を取り戻す試み」、ではないだろうか。

腕をふり、左右の脚を交互に運ぶ。身体全体で風を受け、風に向かい、風になる。呼吸が乱れ、内臓は踊る。頼れるのは、自分だけ。ただひたすらに、前へ、前へ。

(今の左脚の状態だと、湘南国際マラソンは無理かなぁ。走りたいけど。)

とほほ。 ■

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人間らしさとは

今日の担当:お父さん

先週末、東京ミッドタウン(乃木坂)のギャラリーで行われた対談へ行った。

佐藤雅彦ディレクション 「"これも自分と認めざるをえない"展」 関連プログラム
  特別対談 「"人間らしさ"をつくるもの」

    会場: 21_21 DESIGN SIGHT B1ロビー
    出演: 石黒浩(ロボット工学者、大阪大学教授)
         山中俊治(デザインエンジニア、慶應義塾大学教授)

石黒浩さんを初めて拝見した。今風に言うと、目力(めじから)がとても強い。服装の色は黒。対照的に、山中さんは白いシャツで登場された。

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それぞれ30分程度でプレゼンテーションをされた後、お2人による対談に。質疑も入れて合計2時間、映像も交えながら、たっぷりとお話頂いた。

石黒さんの印象的な言葉についての私的メモ:
  ・人間らしさとは何か、人間とは何かを探求するために、人間と酷似したロボット、
   アンドロイドの研究をしている。
  ・ロボットの見かけや動きが人間に似てくると、親近感が増す。ところが、もっと
   人間に近づいたある時点で、突然強い嫌悪感を感じる。これが「不気味の谷」。
   (参考:Wikipedia「不気味の谷現象」)
  ・ロボットの表情が人間に比べて貧弱というのは間違い。お金と時間さえあれば、
   人間よりも豊かな表情のロボットは作れる。
  ・自分と同じ外観のアンドロイドを作った。それが「ジェミノイド」。
  ・自分は自分のことを他人ほど知らない。
  ・人を見たときとアンドロイドを見た時の目の動きは同じだった。アンドロイドを無
   意識に人間と認識している。
  ・技術と芸術は関係が深い。芸術に方法論を与えると技術になる。新しいものを
   作るには、まず芸術家にならなければいけない。
  ・人間としての必要最小限の見かけを追求したアンドロイドが、「テレノイド」。人の
   形をしているが、性別も年齢もわからず、外装は柔らかい素材でできている。
   誰でも乗り移って、スキンシップが図れる。
  ・Computerは5万ワットの電力を消費するのに対し、人間の脳は1ワットの消費。
   その鍵は、"揺らぎ"。ノイズをノイズのままで活用している。
  ・ニュージーランドでは、チンパンジーにも人権がある。アンドロイドが人権を持つ
   可能性もあり得る。皆が合意すれば。
  ・アンドロイドは、遠隔操作で動かしている。そもそも人間は、遠隔操作されていな
   いと言えるのか。


山中さんの印象的な言葉についての私的メモ:
  ・寺田虎彦の漫画論(大正10年)
     自然科学の法則は、どれとも似ていないが、リアルに近い。漫画で描かれた
     人も、どの人とも似ていないが、本物以上。
  ・生命感のある形が少しだけ入ると、使いやすいデザインになる。
  ・生物の体は、柔らかく湿っていて変化する。人工物は、固く冷たくて動かない。
  ・生物と人工物の違い
    作り方: 発生と成長 vs 加工と組み立て
    素材: 連続的に物性が変化 vs 均質な素材
    エネルギー: 水溶液中の化学反応 vs 燃焼・電気
    駆動: 筋肉の伸び縮み vs 高速回転
    継続性: 代謝・事故修復 vs 丈夫・修理
  ・安易に生体に似せると人工物らしい機能を失う。
  ・大根おろしの歯に揺らぎを入れると、大根が滑らずにおろせる。結果的に鮫の歯
   の形に似た。似せようとは全く思わなかったが。
  ・骨からくり人形"弓曳き小早船"の顔には目も口もないが、人ぽい。テレノイドとの
   共通性がある。 


石黒さんが「ジェミノイド」そっくりだったのは驚きだった。(逆ですね。「ジェミノイド」が石黒さんにそっくり、でした。)「怒っているとよく言われるが、そうではない」、と仰った時には、会場から笑いが出た。(確かに怒っているように見えたので)

「倫理」に関する質問に、石黒さんが力強く答えられたのがとても印象的だった。「倫理を考えると何一つ新しい技術は作れない。世の中を変える技術には両面性がある。原子力は人を殺すが電気も作る。倫理を口にする科学者は本物じゃない」、と。「人間は、遠隔操作されていないと言えるのか」、という発言にも、考えさせられる。

山中さんには、ご自身でデザインされた作品のスライドやデッサンを、数多く見せて頂いた。車、Suicaの自動改札機、腕時計、椅子、携帯電話、大根おろし器、スポーツ義足、等など。有機的な味わいのある形と曲面は、とても魅力がある。

昨夏、この場所で開催された「骨」展で、"弓曳き小早船"のデモンストレーションを見せて頂いた。(その時のブログ) 目も口も描かれていない顔の表情、からくり人形の動きの中に、ある種の生命感が確かに漂っていた。

人間らしさとは何か、生命とは何かを考えさせられる、刺激に満ちた対談だった。

(山中さんがデザインされた「OXO大根おろし器」、こんど手に入れよっと。) ■

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銀座目利き百貨

今日の担当:お父さん

松屋銀座で開催中の、「銀座目利き百貨街」 へ。

様々な分野の49人のクリエーターの方々が選んだ品々が、展示・販売される企画展。

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訪れたのは、初日の夜。20分後にレセプションが始まるらしく、会場入り口で「切符はもうありません」と足止めされた。松屋カードを提示して、何とか入れて頂く。

この場所で、「赤塚不二夫展」「水木しげる米寿記念・ゲゲゲ展」、そして最近では、「アール・ヌーヴォーのポスター芸術展」が開催されていた。今回は、日本(中心)の品々。

展示品は、まさに百花繚乱。

クマヤの「千鳥」、小山くん堂の「文字の量り売り」、永井きんらん堂の「今様金襴手」、炎やの「鉄と硝子の叙事詩」、杉本昭和堂の「鬼畜の言説」等など、何とも怪しげで印象的。初日の夜にして、既に「完売」の札がついているものも、沢山あった。

山中俊治さんの「はんぱ屋」で、玉屋庄兵衛さんのからくり人形に再開した。とはいっても、今回は部品。部品に要求されるのは、寸分たがわぬ正確さとその機能。木の部品の色と肌合いが様々だったのはそれぞれの木の特性を活かした結果、だろうと思う(間違っていたらゴメンナサイ)。機能を突き詰めた結果としての美しさ、部品全体の調和のとれた美しさが、素晴らしい。

49人の方々は、独自の目で商品を選定・出展されている。一見すると全くバラバラで、その個性は鋭角的に際立っているが、不思議と違和感を感じないのは、「目利き」の良さからだろうか。いづれにしても、とても意欲的な企画展だった。

凄まじい数の人の中で右往左往し、時間切れで、何一つ買えなかったけれど。(とほほ) ■

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風のとおり道

今日の担当:お父さん

先日、アップルストア銀座店のイベントに行ってきた。

山中俊治さんとMartin Peekさんのトーク・イベント。題して、「ダイソンのデザインと技術力」

開始10分前に会場の3階ホールへ着くと、ほぼ満席。2列目に空いてる席を見つけ、座らせて頂いた。

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冒頭、山中さんから、簡単な自己紹介があった。両手親指キーボード(tagtype Garage Kit)が、ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションになったこと、Suicaの自動改札機(13度の傾斜)を開発したこと、等など。

dysonとの関わりについては、雑誌の表紙のJames Dysonさんが山中さんデザインの腕時計を着けていたこと、竹尾ペーパーショーでdysonの扇風機を使った作品を展示したこと等を、ご紹介頂いた。

その後、山中さんの進行に沿って、Martin Peekさんがお話された。

Martin Peekさんの印象的な言葉について、大雑把な私的メモ;
 ・dysonには、"デザイナー"はいない、いるのは"デザインエンジニア"。デザインする人
  は技術を理解する必要がある。デザインエンジニアは、製品開発の全てのプロセス
  に関わっている。
 ・dysonには、若いデザインエンジニアがたくさんいる。若い人は固定観念に縛られない
  からいい。
 ・デザインエンジニアは、全員、スケッチブックを持ち歩いている。まずはスケッチから
  始める。
 ・スケッチの後、段ボールでモデルを作る。段ボールはどこでも手に入るし使いやすい。
 ・ハンドドライヤー製品のテスト中に、高速な空気流の特性に気がつき、何かに使えない
  かと考えた結果、扇風機(Air Multiplier)に辿りついた。
 ・Air Multiplierの開口部のリングは16度の傾斜で外側に広がっている。ここから吸い
  込んだ風量の15倍の気流が生まれる。製品化まで4年かかった。
 ・とにかく、繰り返し繰り返しテストする。テスト、テスト、テスト。


扇風機を作ろうと思った訳ではなく、別の製品のテスト中に見つけた空気の流れを、何かに使えないかと考え、結果として革新的な扇風機が生まれた、ということらしい。

「従来の製品とは全く違う新しい商品を作り続けるのは、とても珍しく、大変なこと。その原動力は何でしょう?」、という山中さんの質問に対しては、「Zeroから考えてみよう、いいアイディアがあれば追求してごらん、というJames Dysonの姿勢によるところが大きい。既に市場にある製品を改良して出す、incremental changeのような発想は、ダイソンにはない」、という趣旨の、穏やかだが力強い回答だった。

「いい意味で、好奇心ベースのプロフェッショナルなデザインエンジニアがたくさんいる会社」、と山中さんが総括されたように、今や世界的な企業が、好奇心を起爆剤に革新性を追及し続ける姿は、驚異的(他社にとっては脅威的)だとも思う。

創業者のリーダーシップと経営戦略がvividに伝わってくる、印象的なトークだった。

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イベント後、松屋銀座7Fにお邪魔した。

Air Multiplierの現製品、発売予定の新製品が並べられていた。

羽根のない扇風機を見ながら思う。卓上型も、据え置き型も、そのデザインには明らかにdysonらしさがある。needsではなくseedsから、エンジニアの観点から生み出された製品が、いかにもdysonらしいデザインになるのは、何故なんだろう。(dyson的な味付けを担当する専門のデザイナーでもいるのかなぁ。)

山中俊治さん、関係者の皆様、とても面白かったです。有り難うございました。 ■

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紙は生きている

今日の担当:お父さん

土曜日、丸ビル(丸の内)へ。

  「Takeo Paper Show 2010 / 感じるペーパーショウ」
    主催:株式会社竹尾
    総合プロデュース:竹尾 稠
    アートディレクター:山口信博、緒方慎一郎、山中俊治 (敬称略)


エスカレータで7Fに上り、受付を済ませ、トンネルのような形をしたエントランスに進んだ。

トンネルの壁は、和紙と洋紙でできている。天井も床もオフホワイト。何とも不思議な空間。(係の方に許可を頂き、エントランス付近の写真を撮影させて頂いた。)

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紙を素材にした様々な展示物が、ゆったりと置かれていた。

特に印象深かった、3つの作品について。

  ○水より生まれ、水に帰る
     製紙工場で使われている連続紙漉き機をモチーフにした作品。パルプを
     含んだ水がローラーの上を流れてくる。ローラーの動きにつれて、水分が
     下に落ち、パルプの膜ができてくる。紙らしくなってきたところで、突然、
     パルプの膜は水の流れに溶けていく。その溶け方が、淡く儚い。水に溶け
     たパルプはローラーの上部へと巡回し、繰り返される。
     ギリシャ神話「シーシュポスの岩」を想い出した。シーシュポスが巨大な岩
     を山頂に運ぶことを永遠に繰り返す苦行。但し、この作品には苦行のイメ
     ージや絶望感は全くない。絶え間ない循環。reincarnation、水と紙の
     輪廻転生。とても味わい深かった。

  ○風をはらんで、命を宿す
     お椀型の小さな和紙が、風にあおられて、ふんわりと舞い上がる。風をお
     こしているのは、羽根のないダイソン社製の扇風機。欧米の先端テクノロ
     ジーと日本の伝統和紙の異文化交流。何と豊かな発想だろう。不規則で
     軽やかな"舞"に、見とれてしまった。

  ○ペーパーフォール
     最後のコーナーに置かれた、巨大なロールティッシュ。大きなロールが流
     れ落ち、うねり、折り重なる。滝と波。「静」で感じる「動」。異次元空間。

紙は生きている。紙の「儚さ」が、「生命の輝き」を感じさせる。

しかし、紙それだけで存在している訳では決してない。水なくして紙はできず、風なくして紙は動かない。自然の光・人工の光が、紙の色と形を際立たせる。

紙を漉く人がいる。紙を使う人がいる。紙を愛する人がいる。

紙に対して、もっともっとsensitiveになろう。

そんなことを思いながら、刺激に満ちた会場を後にした。 ■

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夢の足

今日の担当:お父さん

日曜日、AXISギャラリー(六本木)へ。

「慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 エクス・デザイン(XD)展 2010」。

副題は、"未来のインターフェイス、ロボット、音楽、映像、プロダクトの姿を探る"。

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昨年の「骨」展に出品されていた、触手のように動くロボット、"Flagella"に再会した。

生命らしさを感じさせる動きが、何とも懐かしい。6ヶ月半振りに知人に会ったような、不思議な気分。

「骨」展では模型(モックアップ)だったアスリート用の義足も展示されていた。現在、義足ランナーの皆さんによるフィールドテスト中とのこと。

そのカタチと色彩の美しさに、瞠目した。機能とデザイン、又は医学とアートが、高い次元で融合している。夢のような足、としか言いようがない。

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山中俊治さん(慶應義塾大学 政策・メディア研究科教授)と、大谷俊郎さん(慶應義塾大学 医学部教授)の対談を、最前列の席でお聴きした。

題して、「膝の話」。

「骨」展でも展示されていた人口股関節等を素材にしながら、デザインと医療の観点から話が展開される。専門的な話を、ヴィジュアルかつ判り易くご説明頂き、とても面白かった。

会場からの質問の時間に、恐れ多くも挙手して、質問させて頂いた。

大谷先生への質問は、一言で言うと、「ランニングは膝に悪いのでしょうか」。

山中先生への質問は、大変印象深い山中さんの言葉について。「プロダクトに有機的なスタイルを与えることよりも、洗練された設計解の達成によって結果的に有機的な印象になることの方が上位にある」。

お二人とも、非常に丁寧に、豊かな回答をご提示頂いた。思い切って質問して本当に良かった。嬉しかったなぁ。(有難うございました)

さてさて、来る日曜は荒川市民マラソン。大谷先生から「是非、ランニングを続けて下さい」、と励ましの言葉も頂いたことだし、初めてのフルマラソンを思いっきり走ろう、と思う。

目指すはサブフォー、3時間台。どうなることやら。 ■

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「骨」、クローズ

今日の担当:人間のお父さん

8/30(日)、東京ミッドタウンの、21_21 DESIGN SIGHTへ。

この日は「骨」展の最終日。8月1日に初めて訪れて以来、「骨」展は4回目になる。

会場内で山中俊治さんをお見かけした。思い切って、声をかけさせて頂き、「骨」展のホームページにこのブログを紹介頂いたお礼を言った。ブログ名を聞かれたので、「Lafieの見た夢、です」と申し上げたら、「あ~、とても丁寧に書いて頂いて有難うございます」と、優しい笑顔で、丁重な挨拶を頂いた。とても恐縮したが、素直に嬉しかった。

ふたつのクロージング・イベントがあった。

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ひとつは、九代目・玉屋庄兵衛さんによる、”骨からくり「弓曵き小早船」”の実演。

骨からくり人形の実演を見るのは3度目だが、玉屋さんご本人の手による実演を見るのは、今回が初めて。玉屋さんは、最近海外で右手を負傷されたとのことで、拳に巻かれた包帯が痛々しかった。山中さん、玉屋さんの説明に続いて、玉屋さんが曳いた矢は、3本の内2本が、しっかりと的にあたった。

実演の後、玉屋さんと関係者の方に直接お話をお伺いした。からくり人形はメンテすることを前提に造られている、基本的には木をナイフで丁寧に削るだけ、ペーパをかけると木の繊維が壊れる、洋材は縦も横も縮じむ(だから和木を使う)、きちんと作ってメンテすれば200年は保つ、からくり人形の骨格は(この作品に限らず)しっかりと(美しく)造られている等など、からくり人形にまつわる貴重で魅力的な話をたくさんお聞きした。

二つめのイベントは、ピアニストの永田ジョージさんによる、”失われた弦のためのパヴァーヌ”の演奏。

永田さんが奏でる「星に願いを」等の曲に合わせて、プリズムの光が色鮮やかに壁を彩る。リクエストにも応えて頂き、サザン(僕のリクエスト)の「真夏の果実」、”トゥーランドット”の「誰も寝てはならぬ」、「月光」、「見上げてごらん空の星を」等なども弾いて頂いた。エンディングの曲は「キラキラ星」。光と音の素晴らしい演奏会だった。

演奏会の後、もう一度会場を周りながら、何故これほど迄に「骨」展に魅かれたのだろうか、とあらためて考えた。

安藤忠雄さんの設計による、斬新でありながら落ち着きのある空間。その中に展示されている、未来をも含む実に多様なモノたち。生物と、工業製品。長い年月をかけた生物の進化の結果と、人々の経験と智恵の累積、そして未来。

「骨」をテーマに、感性と知性を優しくかつ大きく揺さぶられた喜びが、今回の企画展の魅力だったのではないだろうか。

いつの日か、”「骨」展パート2”が企画される可能性を、ひそかに期待したいと思う。

山中俊治さん、関係者の皆様、素敵な展覧会を本当に有難うございました。 ■

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未来の「骨」

今日の担当:人間のお父さん

三度目の「骨」展。

「未来の骨」と題する、エンディング・スペシャルトークに行ってきた。

 出演者:
   山中俊治さん (本展のディレクター、慶応義塾大学教授)
   臼井二美男さん (義肢装具士、切断障害者・陸上クラブ「ヘルス・エンジェルス」代表)
   鈴木徹さん (走り高跳び選手、北京パラリンピック5位入賞)
   大西瞳さん (地方公務員、大腿切断:100m・200m日本記録保持者)
   須川まきこさん (イラストレーター)

鈴木徹さん、大西瞳さん、須川まきこさんは、いづれも臼井さんの手による義足を使われている。

鈴木さんと大西さんは、膝から下の義足の骨格をそのまま出した姿で、登場された。

義足の骨格がそのまま足に繋がっている姿を初めて見た。最初驚いたが、驚いたこと自体が少し恥ずかしくなった。これが、義足そのものなのだから。

臼井さんは、スライドや動画を映しながら、義肢装具士になった経緯、義足の過去と現在、等をお話された。

鈴木さん大西さん須川さんは、足を切断することになった時の絶望感、絶望からの脱出、利用者としての義足への要望などを、穏やかにお話された。

山中さん曰く、デザインはあらゆるところにあるが、デザインされていないものもある、今はまだモックアップだが、これから義足をデザインしたい、と。

約1時間半のトークの後、外に出て、鈴木さんと大西さんに走る姿をご披露頂いた。

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そのスピード、その姿に、驚嘆した。

発すべき言葉を失った。

◇◆◇

「骨」展の会場を出て、一人歩きながら、膝、足首、足の裏、足の指などの機能を自分自身で確認してみた。それぞれの箇所が、柔軟に曲がり、動き、調和し、全体として歩行の動作が成立している。

その歩行の動作を、義足が補う。

その義足を、これから、山中さんがデザインされるという。

機能的で、洗練された、素晴らしい「骨」ができるだろう、と思う。

「未来の骨」を、予感した。 ■

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プロフィール

Lafie & Papa

Author:Lafie & Papa
トイプードルのLafieの趣味は、くう・ねる・あそぶ。人間のお父さんの趣味は、ランニング、美術・音楽鑑賞、読書、ワイン・芋焼酎・その他飲食など。まあ、似たようなものです。
訪問頂き、有難うございます。

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