スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アナザー若冲展

今日の担当:お父さん

千葉市美術館の 「伊藤若冲 アナザーワールド」展へ。2週間ぶり、2度目の再訪。

20100620e

会期後半になり、多くの作品が入替されていた。

昨秋、MIHO MUSEUMで開催された「若冲ワンダーランド」は、僕にとって初めての若冲展だった。驚きの連続で、しかも、「象と鯨図屏風」「鳥獣花木図屏風」(プライスコレクション)、「雪中遊禽図」、等の印象が殊更に強く、他の作品をあまり覚えていない。

それでも、「葡萄図」の可愛らしい葡萄、「霊亀図」の見事な甲羅と尻尾、「花鳥版画」に溢れるカラフルな異国情緒等は、忘れられない。いづれの作品にも、9ヶ月ぶりに再開できたことが、とても嬉しい。

初めて見る「烏賊図」「白象群獣図」、も面白かった。

中でも、最も印象に残ったのが、「蔬菜図押絵貼屏風」。屏風の一幅一幅に、かぼちゃ、かぶ、椎茸等が、水墨で大らかに描かれている。最後のコーナーに展示されていたこの作品を、都合、1時間くらいは眺めていただろうか。若冲の大いなる遊び心に、惚れ惚れした。

ミュージアムショップへ立ち寄ると、展覧会図録を3冊抱えた人がいた(プレゼント用だろうか、保存用だろうか)。絵葉書を山のように買っている人もいた。誘惑と格闘しつつ、菜蟲譜(さいちゅうふ)はがきセットとクリアファイル2種を、控え目に買った。蔬菜図押絵貼屏風のミニチュア版にも魅かれたが、165,900円の値段を見て諦めた。(因みに、先回買った若冲トランプは売切れだった。買っておいて良かったなぁ。)

小林館長の講演会を挟んで、朝から夕方まで、若冲ワールドを堪能した。

次に若冲作品に逢えるのは、6年後だろうか。楽しみだけれど、ちょっと(かなり)先だなぁ。 ■
スポンサーサイト

theme : 写真日記
genre : 日記

若冲の多彩な画

今日の担当:お父さん

千葉市美術館へ。小林忠館長による講演会に行ってきた。

題して、「伊藤若冲の多彩な絵画ワールド」

20100620e

6月5日の辻惟雄先生の講演会の反省を踏まえ、今回は12時から入場券を配付するという。これなら時間が有効に使える。開館と同時に展覧会場へ入り、小一時間観た後、1階の「さや堂ホール」に行くと、3番目だった。12時に係りの方から入場券を受け取り、軽食を食べ、展覧会へ戻って、約1時間半過ごした。その後、11Fの講堂へ。

小林館長は、まず、若冲との接点についてお話された。東京大学を卒業後、東京国立博物館の絵画室に勤務していた小林さん(当時30歳)は、辻惟雄さん(館長曰く、"辻先輩")とプライスさんから、「お前、若冲展をやれ」、と言われたという。それが、1971年の特別展観「若冲」になったとのこと。言う方も言う方だが、それを実行した若き小林さんの手腕も凄い。

因みに「特別展観」は、館員が研究成果を発表する展覧会で、運送費、保険、図録作成など全てを含めた予算は、100万円(今の1,000万円くらい?)。宮内庁が「動植綵絵」30幅を貸し出し、プライスさんは10数点の若冲作品を自費で持ってきたくれたという。図版1,000部のうち、300部はプライスさんが買い上げてくれたとも。

今日の若冲ブームの引き金になったのは、2000年、京都国立博物館での「没後200年 若冲」展。2006年のプライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展は、4会場で100万人を集めた。小林館長は、若冲とそれ以外全てを含めた江戸絵画、という言い方が「あんまりだと思う」と、苦笑されていた。「北斎と江戸絵画」、「応挙と江戸絵画」なら判るが、とも。

相国寺が動植綵絵30幅を皇室に献上した経緯について、相国寺・有馬管長の言葉を紹介頂いた。廃仏毀釈で大変な時期、献上した代わりに頂いた1万円で、敷地1万8,000坪を売却せずに済んだという。又、有馬さんは、相国寺境内に承天閣美術館を建てるにあたり、いつの日か釈迦三尊像と動植綵絵30幅を一堂に展示できるよう、展示室を設ける。それが、23年後に「動植綵絵展」として結実した。強い意思に支えられた、まさにドゥリーム・カム・トゥルー。

動植綵絵は、1999年から6年間にわたり、京都国立博物館の構内で修復作業が行われた。その結果わかった裏彩色について、スライドで詳細に見せて頂いた。若冲、おそるべし。

象と鯨を描いた「象と鯨図屏風」については、金沢にいる辻先生の教え子からMIHO MUSEUMに第一報が届いたとき、小林館長は偶然にもその場に居合わせたとのこと。ある種の運命を感じさせる逸話でもある。

プライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」については、図録でも紹介されていたが、小林館長の思い入れが深い作品。「きっちりしている。緻密で楽しい作品。東京国立博物館で見つけて、驚いた。上野動物園へ行き、描かれている鳥や動物の名前を聞いたところ、すぐに教えてくれた」、というエピソードも紹介頂いた。

「独創的で、無垢、絶え間ないユーモアがある。いわゆる工房作のものも含めて、広く若冲ワールドとしてとらえたらいいのではないか」、という発言は、全くその通りだと思う。

小林館長のお話の後、思い切って挙手して質問させて頂いた。「今日の若冲人気をどのように思われているでしょうか。先日の辻先生の講演会での辻先生のコメントも興味深かったのですが」と。館長は、「若冲一人にやや光があたりすぎている」と前置きされた上で、「若冲の絵には様々な仕掛けがある」、「若冲の絵は多面的。同じ人かなと思うくらい作風が変わる」、とも仰っていた。なるほどなぁ。

とても印象に残る有意義な講演会だった。展覧会の再訪の様子については、後ほどあらためて。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

伊藤若冲の魅力

今日の担当:お父さん

「伊藤若冲アナザーワールド」展の記念講演会、「伊藤若冲の魅力」のつづき。(3回目、これでおしまい)

20100605b

以下、若冲作品について辻惟雄先生に解説頂いた内容に沿った、(やや長々とした)私的メモ。

  「虎図」 (プライス コレクション)
    ・正伝寺の伝毛益筆「虎図」を模写したもの。模写したこの絵の方が、元の画より
     も力強い。虎の姿にも若冲らしさがある。
  「旭日鳳凰図」 (宮内庁三の丸尚蔵館)
    ・堂々とした作品。波が生きもののように描かれている。タコの足がからみつくよう
     に波頭を描くのが若冲の特徴。アニミズムの系譜。
  「雪芦鴛鴦」 (プライスコレクション)
    ・プライスさんが購入したこの絵が日本を離れるとき、辻先生が、当時大学院生だっ
     た小林忠先生(館長)に「よく見ておけ」、と言った作品。
  「梅花小禽図」 (動植綵絵、宮内庁三の丸尚蔵館、「池辺群虫図」まで同じ)
    ・梅の花が隅から隅まで手を抜かないで描かれている。中央を丁寧に描いて周囲
     を大雑把に描く西洋画の手法をとっていない。ゆえに見ていると息が詰まりそう
     にもなる。熱気に引き込まれる。
  「南天雄鶏図」
    ・現代の抽象画にも通じる。現実の南天ではない。夢のような赤い美。力強い鶏は、
     黒い悪魔のようにも見える。
  「棕櫚雄鶏図」
    ・棕櫚に穴があいている。穴から覗き見し、逆に覗き見もされている。若冲は、作品
     の中に目玉をあちこちに入れる。
  「群鶏図」
    ・動植綵絵の30幅の中で一番有名な不思議な絵。鶏冠があっちこっちに向いている。
     素晴らしい装飾美。
  「薔薇小禽図」
    ・村上春樹の小説のような、異次元の世界。
  「貝殻図」
    ・波頭が絡みついている。オバケの顔のようなものも描き込まれている。遊びがある。
  「老松白鳳図」
    ・艶かしい。女性が宴会用のドレスをまとっているかのよう。色気がありすぎる。
  「菊花流水図」
    ・尾形光琳に近づいたような作品。不思議。幹は枯れているが菊は咲いている。菊の
     花は、まるで水中花のよう。  
  「芦雁図」
    ・雪の盛り上がった描き方が日本画とは思えない。幻想的。面白い。
  「池辺群虫図」
    ・細部をよく見ると実に面白い。若冲の感性が感じられる。
  「釈迦三尊図3幅」 (相国寺)
    ・エキゾチック。この絵と動植綵絵30幅で"仏国土"を表した。仏の世界への憧れ。
  「果蔬涅槃図」 (京都国立博物館)
    ・大変なユーモア。面白おかしいだけでなく、植物を生きものに例えた視点がいい。
  「五百羅漢石像」 (石峰寺)
    ・若冲設計の石像。石峯寺は若冲が作ったテーマパーク。
  「鳥獣花木図屏風」 (プライスコレクション)
    ・若冲工房の作品。背景は水面で、白い部分は島。1cm四方の桝目が86,000個ある。
     桝目という制約の上に、若冲らしいユーモアが出ている。弟子が協力したのだろう。
  「百犬図」 (個人蔵)
    ・70歳代の作品。おめでたい多産の絵。可愛らしくない犬もいる。
  西福寺襖絵
    ・若冲には珍しい金色の襖絵。光琳的。
  「石灯篭図屏風」 (プライスコレクション)
    ・今にも化けそうな灯篭。プライスさん曰く"薄暗い部屋に置くと灯籠の灯が見える"。
  天井画「花丸・花卉図」 (石峯寺→信行寺)
    ・最晩年(84歳)の天井画。茎が音楽のようにも見える。
  「菜蟲譜」 (佐野市立吉澤記念美術館)
    ・77歳の時の作品。独特の色調。要するに野菜。動植綵絵から30年以上を経て、
     自由さが出ている。面白い。

辻先生は、パワーポイントの操作にやや戸惑いつつも、笑いを交えて、活き活きとお話された。約1時間半、とても貴重で、とても贅沢な時間だった。(辻先生、有難うございました!)

講演会の後、もう一度、若冲展を見た。

しばし見とれたのは、大きな水墨画の「果蔬涅槃図」。画の中央に大根(釈迦)が横たわり、釈迦の入滅を哀しむ野菜(人々)が大根を取り囲んでいる。長谷川等伯の巨大な涅槃図「仏涅槃図」には、釈迦や弟子たちに混じって、象、虎、ラクダ、犬などの動物達が印象的に描かれていた。ここではそれら全てが野菜に替わっている。青物問屋の本領発揮、おおらかで柔軟な発想と描写が、実に見事だと思う。

「石灯篭」の屏風は、幻想的で、不思議な味わい。

「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵)に逢えたことも嬉しい収穫。昨秋MIHO MUSEUMで見た「鳥獣花木図屏風」(プライスコレクション)と同様、カラフルで独創的な世界が広がっていた。

「鯉図押絵貼屏風」の鯉は、泳いでいるというよりも、宙を舞っている。鯉の目もいい。勢いのある筆で描かれた、「鶏」、「海老」、「鶴」、「馬」などの水墨画にも、驚嘆した。

辻先生のお話によると、2016年、若冲生誕300年の大規模な展覧会も企画されているという。

今から6年後。世の中は、僕の周囲は、そし僕自身は、どう変わっているのだろう。少しは速く走れるようになってるかなぁ。

6年先が、今から待ち遠しい! ■

theme : 写真日記
genre : 日記

象鯨図屏風

今日の担当:お父さん

「伊藤若冲アナザーワールド」展の記念講演会、「伊藤若冲の魅力」のつづき。(2回目)

辻惟雄先生がお話された内容に沿って、若冲の人生を、ざっとおさらいしてみる。

1716年、京都錦の青物問屋の長男として生まれる(同年、尾形光琳没)。学問、芸事には興味を持たず。仏教に帰依し、相国寺の大典(3歳年下)と親交を結ぶ。肉食をせず、生涯独身。当初は狩野派に習ったが、大典の勧めもあり、実際のモノを見て描く"写生"に力を入れる。40歳で家業を弟に譲って隠居、画業に専念。42歳から「動植綵絵」30幅の制作を開始する。

「オタク」的な人物像がこれまでの定説だったが、50歳代後半、錦高倉市場の公認差し止めを免除してもらう為に奔走した記録が最近見つかった。"やるときはやる"、幅のある人物だった。73歳の時、天明の大火に合い、すっからかんに。以降、絵で食べていくために多作となる(後世の若冲ファンにとっては朗報)。最晩年まで絵を描き、1800年に84歳で逝去。

(40歳での隠居は当時なくはなかったが、かなり早い方だったとのこと。若冲にとって、隠居後の44年間の方がハレの月日だったのだろう。)

以下、「象鯨図屏風」(MIHO MUSEUM蔵)について、辻先生のお話に沿った、私的メモ。

象鯨図屏風

    ・2008年に北陸の旧家で発見された。「米斗翁八十二才画」の落款がある。
    ・鑑定を依頼された時、昭和3年に大阪美術倶楽部のオークションに出品された屏風
     (川崎本。現在は消息不明)が出てきたかと思ったが、よく見ると違いがある。
    ・八十歳の時に描かれた川崎本が評判になったのだろう、同じ画題で描かれている。
     童心に溢れ、力強さもある。
    ・分子生物学者・福岡伸一さんの著書に、象と鯨が会話をする話が登場する。まさに
     この画の光景。

2つの屏風の画像をかわるがわる投影頂いたので、その差異がよく判った。

「象鯨図屏風」は、昨年秋、MIHO MUSEUM(滋賀県・信楽)で開催された 「若冲ワンダーランド」展 で拝見した。静かなる迫力、奇抜で大胆な構図に圧倒されたことを思い出す。

ところで、辻先生が言及された福岡伸一さんの著書は、「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」。以前、出版記念の講演会にも行ってきた

読み直してみると、ライアル・ワトソンが「エレファントム」に書いた逸話が紹介されている箇所に、「象鯨図屏風」の写真が掲載されている。記述を大雑把にサマリーすると、南アフリカのクニスナ地区で最後の一頭となった象が行方不明になったと聞き、ワトソンは現地に赴く。象は、ワトソンの予想通り、大海原を見渡す切り立った崖の上にいた。海を見ると、シロナガスクジラが海面に浮かび上がり、岸のほうを向いている。象と鯨が低周波音の声で語り合っている、そのことを確信した、という内容。「自然は歌に満ちている」という小見出しもついている。「象鯨図屏風」についての直接的な言及はないが、そのままの情景描写には、驚くより他ない。

辻先生には、その他たくさんの若冲作品を解説頂いた。

その内容については、後日あらためて。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

若冲と村上春樹

今日の担当:お父さん

週末、千葉市美術館へ行ってきた。「伊藤若冲 アナザーワールド」 展の記念講演会。

講師は、辻惟雄先生(MIHO MUSEUM 館長、東大名誉教授)。題して、「伊藤若冲の魅力」

辻惟雄先生は、約40年前に、著書「奇想の系譜」の中で若冲を取り上げ、今日の若冲ブームの発端を作られた若冲研究の第一人者。若冲ファンの一人として、こんな貴重な機会を逃す訳にはいかない。

20100605a

14時からの講演会は、先着順で150名まで。

もしやと思い、11時半過ぎに11Fの講堂の前に行ってみると、何と4人の方が既に待っていた。少し早いなぁと思いつつ、列に並び、床に座って図録を見ながら待った(この図録がなかなか秀逸)。12時半、係の方の誘導に従って講堂へ。(13時には満席に。)

定刻の14時、小林忠館長のご挨拶に続いて、辻先生がお話を始められた。「もうすぐ78歳になるこの歳で、パワーポイントを作ってきた」と、会場を笑わせる。

冒頭、非常に興味深いご指摘があった。以下、私的メモから。
  ・2000年に京都国立博物館で開催された「若冲展」は、最初はガラガラだったが、うなぎ
   のぼりに入場者数が増え、結果的に記録的な入りになった。若い人のブログ等による
   クチコミ効果の結果だったことが、後に判った。
  ・昨今の若冲人気の理由は良く判らない。時代が若冲の眼に追いついてきたのだろうか。
  ・若冲の絵は、異次元の世界に誘い出す装置を伴っている。そして我々はその世界で
   遊ぶことができる。
  ・若冲人気は、村上春樹の小説「1Q84」が大人気になっている現象と必ずしも別ではな
   い。どちらも、現実と非現実の間を漂っていて、シュールな世界。しかも楽しませる。
   アナロジーが共通している。


村上春樹との共通性についての言及には、瞠目した。

若冲の絵には、「1Q84」のように、2つの月が描かれている訳ではない。しかし、例えば今回展示されている「月夜白梅図」の月は、幻想的かつ神秘的で、「1Q84」の世界観を彷彿させるものがある。

動植綵絵の「老松白鳳図」の艶かしさ、妖しさ、そして不可思議さは、確かに村上春樹ワールドに通じている、ようにも思う。

村上春樹の小説はそれなりに愛読してきたが、若冲との共通性には、全く思いが及ばなかった。意識下では、反応していたかもしれないが。

「若冲の魅力」について、辻先生の興味深いお話の内容は、後日あらためて。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

鳥の仏教

今日の担当:人間のお父さん

中沢新一著「鳥の仏教」(新潮社)を読んだ。

チベットの仏典「鳥のダルマのすばらしい花環」を翻訳・解説した本。インドに原典のない"偽"教典で、17世紀~19世紀の初頭に書かれた、比較的新しいものらしい。

カッコウに姿を変えた観音菩薩が、この世の真理を説き、森の鳥たちがその教えに従うという、およそ教典らしからぬスタイルで書かれている。小鳥の挿絵も素晴らしい。

20091110

冒頭に、こんな記述があった。少し長いが、飛び飛びで引用する。

  インドとチベットの国境に、「宝石を積み上げた山」と呼ばれる、美しい森におおわれた
  山がありました。(中略)
  山を取り囲んで東から南の方角にかけて広がる斜面には、吉兆の鳥と言われる白い
  ライチョウなどのような、たくさんの鳥が住んでいました。(中略)
  麓には湖や池や湿地が点在し、崖や岩や氷河からも、豊かに水が流れ出していまし
  た。(中略)そこには雁や沼を好む鳥たちやアジサシなどの水鳥が暮らしていました。
  森の木々の上の梢には、孔雀や人の言葉を真似るのが上手な鸚鵡や、ツグミやカラ
  スなどの樹上の鳥たちも暮らしていました。まったくそこは、鳥たちによって美しく飾り
  たてられた森に包まれた、まことに崇高な山だったのです。
                               (中沢新一著「鳥の仏教」より)


幻想的で豊かな自然、吉兆の鳥、孔雀、鸚鵡、雁、そしてたくさんの鳥たち。

最近、どこかで見かけた風景...。ん?

これは、まさに、若冲が描いた「動植綵絵」の世界ではないか。

よくよく思い出してみると、「動植綵絵」30幅は、「釈迦三尊像」3幅とともに若冲が相国寺に寄進したもので、「釈迦三尊像」のための仏画でもあった。そう考えると、「鳥の仏教」との符合は、決して不思議ではない。

不思議ではないが、「動植綵絵」との繋がりを、自分自身で発見したことが、とても嬉しい。

若冲の作品を初めて見たのは約1ヶ月前。いつの間にか、身体の深いところに、若冲が入り込んでしまったようだ。来春開催される予定の「伊藤若冲 -アナザーワールド-」(千葉市美術館、2010年5月22日~6月27日)が、今から待ち遠しい。

やれやれ。(家族の声) ■

theme : 写真日記
genre : 日記

動植綵絵

今日の担当:人間お父さん

再び東京国立博物館へ。

MIHO MUSEUMで"若冲ワンダーランド"を見た翌日、もう一度「動植綵絵」を見に行った。

朝8時に並び、開館と同時に"若冲の間"に直行した。

先回と同様、ゆっくりと一周し、数分間、若冲を独占した。一周した後、"芍薬群蝶図"の前に立ち、時計の反対周りに、時間をかけて歩いた。

雪中鴛鴦図、 芦鵞図、蓮池遊魚図、菊花流水図、群魚図(蛸) 、池辺群虫図などなど、半月ぶりに見た「動植綵絵」は、やはり途方もなく素晴らしかった。MIHO MUSEUMでは屏風の迫力に圧倒され、モザイク画や墨画の面白さ等を堪能したが、30幅の作品群が間違いなく大傑作であることを確信した。

展示の並び順を、メモしてみた。
         紫陽花双鶏図      老松白鳳図      老松孔雀図      群鶏図
桃花小禽図 
蓮池遊魚図
棕櫚雄鶏図 
梅花群鶴図
南天雄鶏図 
芦鵞図
紅葉小禽図  老松鸚鵡図
菊花流水図  老松白鶏図
群魚図(鯛) 芙蓉双鶏図
群魚図(蛸) 梅花皓月図
芦雁図    大鶏雌雄図
貝甲図    向日葵雄鶏図
池辺群虫図  秋塘群雀図
牡丹小禽図  雪中鴛鴦図
薔薇小禽図  梅花小禽図
雪中錦鶏図  芍薬群蝶図
しっかりと記憶に残しておこう、と思う。

お昼前に平成館を出ると、会場の外には入館待ちの長い行列ができていた。若冲目当てだろうか。

20091107a

ところで先日見た夢の中に、たくさんの軍鶏が出てきた。

鶏たちはお互いを突っつき合っている。まるで格闘技のように投げ合いをしている鶏もいる。鶏冠(とさか)が一つ、鶏の頭からポトリと落ちる。鮮やかな赤い色。驚いて、目が覚めた。

まさに若冲の"群鶏"、ではないか。

夢にまで出てきた若冲、恐るべし。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

若冲ワンダーランド

今日の担当:人間のお父さん

滋賀県のMIHO MUSEUMへ。

朝8時過ぎ、大阪駅から野洲行きの新快速に乗り石山駅で下車、路線バスで山道を登ること1時間弱、MIHO MUSEUMに着いた。

レセプション棟の前に人が並んでいたので聞いてみると、展示館まで送迎する電気自動車を待っているという。展示館では、ここから徒歩で7~8分あるという。その距離に驚きつつ、歩いてみた。

舗装された広い道を進むと、メタリックでとても美しいトンネルがあった。トンネルをくぐると、吊り橋の向こうに、山々に囲まれた展示館が見えた。何たる自然環境。

20091031q

さて、この日のお目当ては、"若冲ワンダーランド”。

半月前に、東京国立博物館の「皇室の名宝」展(第一期)で、若冲作品を初めて観た。"動植綵絵"全30幅の素晴らしさに、大きな衝撃を受けた。ミュージアム・ショップに置かれていた"若冲ワンダーランド"の図録を買って読んでいるうちに、我慢ができなくなって、ここまで来た。

20091031u

様々な趣の若冲作品が展示されていた。

どの絵も印象に残ったが、敢えて挙げるとすれば、"鸚鵡図"、"花鳥版画"、"雪中遊禽図"、"寒山拾得図"、"鯉図"、"雨龍図"、"灯篭図"、"五百羅漢図"、"霊亀図"、それと後ほど述べる二つの屏風。

"花鳥版画"の鮮やかな色彩を見た時、アメリカの画家ジェニファー・マークス(Jennifer Markes、1964~)の名前を突然思い出した。随分前になるが、彼女のシルクスクリーンを欲しかった時期があった。彼女の名前を突然思い出した自分自身に驚いた。

会場に、「若冲の絵には、リアリティーとユーモアという、本来は共存しないものが、カクテルのように混ざっている」という説明があった。リアリティとユーモア、さらに加えるとすれば、大いなるオリジナリティーとパッションではないだろうか。

"鳥獣花木図屏風"(エツコ&ジョー・プライスコレクション)も初めて見た。何かと話題になっているようだが、"若冲らしさ"があることは疑念の余地がない。対で比較される静岡県立美術館所蔵の"樹花鳥獣図屏風"も、是非近々見たいと思う。

20091031w

本展のハイライトは、何と言っても"象と鯨図屏風"。展示されている部屋の入り口からこの屏風を見た瞬間、その静かなる迫力に思わず声が出た。鼻を高らかに伸ばした怪しい眼をした象と、波間を進んで潜っていく鯨の姿が、ゆったりと描かれている。実に奇怪で大胆な組み合わせが面白い。

"動植綵絵"とは違う面白さと迫力に、圧倒された。

約3時間、なかなか来る機会もないだろうMUSEUMで、若冲を堪能した。

関西への旅、つづく。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

初めての若冲

今日の担当:人間のお父さん

「皇室の名宝」展へ。場所は、東京国立博物館(上野)。

20091012e

お目当ては、江戸時代中期の画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)の「動植綵絵」(どうしょくさいえ)。僕にとっては、”初めての若冲”になる。

東京国立博物館に着いたのは、開館1時間半前の朝8時。既に3名の方が並んでいた。

「動植綵絵」に相応しい音楽は何だろうか。逡巡した挙句、ビル・エヴァンスの「At the Montreux Jazz Festival」を選んだ。ビル・エヴァンスをiPodで聴きながら、「もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品」を読んで、予習をする。

9時半少し前に入館。「萬国絵図屏風」や「唐獅子図屏風」の大作の前を足早に通り過ぎ、若冲の作品が並ぶ部屋へ直行する。

まだ誰もいない部屋全体を見渡した。そしてゆっくりと歩いてみる。「旭日鳳凰図」と、「動植綵絵」全30幅が、大きな部屋をぐるりと取り囲んでいる。

鮮やかな色彩と緻密な筆。鶏、鳳凰、オウム、雀、昆虫たちが、松、梅、牡丹、向日葵や紫陽花とともに、力強く存在している。大蛸の長い足につかまる可愛らしい小蛸、やや芝居がかったポーズをとる鶏、そして蟻の群れ。動と静の花鳥風月。華麗で幻想的、そして異界。

”初めての若冲”は、途方もなく衝撃的だった。

上野駅に戻る途中、朝ビル・エヴァンスを聴いていたことを、ふと思い出した。若冲の絵を観ていた時、ビル・エヴァンスのピアノやエディ・ゴメスのベースは、響いていなかった。

若冲の絵につながる音楽を、画集を繰りながら、あらためて探してみよう、と思う。例えばベルリオーズの「幻想交響曲」、例えばジャック・ルーシュ或いはグレン・グールドのバッハ。

共鳴するか、吸収するか、はたまた反発し合うだろうか。 ■

theme : 写真日記
genre : 日記

プロフィール

Lafie & Papa

Author:Lafie & Papa
トイプードルのLafieの趣味は、くう・ねる・あそぶ。人間のお父さんの趣味は、ランニング、美術・音楽鑑賞、読書、ワイン・芋焼酎・その他飲食など。まあ、似たようなものです。
訪問頂き、有難うございます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。